『無香料』は『無臭』でない~エタノールとL-メントール~

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『無香料』は『無臭』でない~エタノールとL-メントール~

本当にどうしようもなくなってしまったとき、『無香料』だからを言い訳に、人前でデオドラントグッズを使ったこと。
今思うと、まずかったなーと思います。あれは迷惑だったんだ、と。

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無香料なら大丈夫?

汗かきさんにとってデオドラントグッズは必要不可欠です。特に体臭を気にする汗かきさんにとってはなくてはならないもののはず。油断すると体からポップコーン臭が漂う私も、鞄に1つはデオドラントグッズがないと不安でどうしようもなくなってしまいます。

あくまでも私個人の意見ですが、デオドラントグッズを選ぶ第一条件は無香料であること。
体臭もちが香料つきのグッズを使ったら、汗の臭いと香料が混ざり合って、とんでもないことになるのはわかりきっています。

香料入りのデオドラントグッズは、体臭をほぼ気にしないでいい人が気休め用に使う、本来の目的と矛盾した道具である。

……と、最近までは思っていました。

『無香料』の落とし穴

ここで本題につながります。『無香料』は(香料未使用なだけで)『無臭』ではないということです。

無香料だからこそ、ごまかすことができなかった成分自体のニオイが、ストレートに表に出てしまいます。匂いが強い成分が含まれていれば迷惑になる可能性もあるわけです。

よく使われているくせに匂いの強いヤツ

デオドラントグッズによく使われているくせに、強い匂いを発する成分があります。それは素人である私でも知っている、有名な2つ。 エタノールメントールです。

エタノール

エタノールはあのエタノールです。手抜きにもほどがあるのでWikipediaから引用すると以下の通り。

エタノール(ethanol)は示性式 C2H5OH、又は、CH3CH2OH で表されるアルコールの一つ。別名として、エチルアルコール(ethyl alcohol)や、酒類の主成分であるため「酒精」とも呼ばれる。アルコール類の中で、最も身近に使われる物質の1つである。揮発性が強く、殺菌・消毒のほか、燃料としても用いられる。

エタノール – Wikipedia

つまりはアルコールくさいのです。いわゆる『病院の匂い』が漂います。『酒くささ』とは違うのでまだましですが、苦手な人にとっては嫌なもの以外の何物でもありません。

メントール

よりやっかいなのがメントールです。

メントール (Menthol) は環式モノテルペン、アルコールの一種の有機化合物。IUPAC命名法の系統名は 2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール (2-isopropyl-5-methylcyclohexanol)、母骨格がp-メンタンというIUPAC許容慣用名を持つため、そこから p-メンタン-3-オール (menthan-3-ol) という名称も誘導される。和名では薄荷脳という。
ハッカ臭を持つ、揮発性の無色結晶である。

メントール – Wikipedia

成分表には『L-メントール』という名前で載っていることが多いメントール。こいつはWikipediaが言っている通り、ハッカ臭を持っています。鼻がスーッとするあの香りの正体です。これが含まれるものの例として、メンターム薬用リップクリームがあります。

メントール自体が『香料』として使われることもあり、独特の匂いにはかなりの存在感があります。なのになぜか、メントールが使われている商品でも無香料と表記されていることが多いのです。
おそらくは『香料としては使っていない』ということなのでしょうが、ニオイを気にする側からすればなんだかもやもやします

エタノール・メントールが含まれるデオドラントグッズ

なら、どんなグッズに上記の成分が含まれるのか? 結論から言ってしまえば、『ひんやり』『スースー』効果のあるグッズのほぼすべてです。

世の中に出回っているスースー効果のあるグッズ(以下、スースーグッズとします)の大半は、肌に触れると冷感を引き起こすという メントールの性質を利用して作られています。水に溶けないメントールはエタノールで溶かしてから使うのが一般的なので、スースーグッズには2つの成分が入っている、というわけです。
少なくとも、手元にあるスースーグッズには成分欄に2つとも含まれています。

以上を踏まえると、スースーグッズである時点で、無香である可能性は低いというわけです。むしろ、独特のハッカ臭を消している香料入りのほうがましという状況になることすらありえます。

ならどうすればいいのかと

無香料でも匂いがするなら八方ふさがりのようにも思えます。ですが、何も使うなと言っているわけではありません。

エタノールもメントールも、もともとはアルコールです。揮発性が高い(=すぐに蒸発する)ので、ニオイはすぐに空気に混ざって消えていきます。場と状況さえ考えれば使用になんの問題もありません。

最終的に何が言いたかったかというと、無香料だからって人前で使ったなら迷惑がられるかもしれない、という一文に尽きるのでした

個人的な話~ただの雑談~

すごくどうでもいいことですが、シーブリーズのデオ&ウォーターに無香料がない理由は、それこそメントールが原因だと思っています。
若者向けとされるデオ&ウォーターで、冷湿布の臭いでもあるメントールの香りがしたら、商品イメージ自体が崩れかねません。

メントールの結晶自体は、すごくいい匂いだと思うんですけどねえ。