多汗症とは~局所的多汗症(手のひら、足の裏、腋の下、頭部の汗)のこと~
多汗症とはその名前の通り、たくさん汗をかいてしまう病気のことです。
ですが、それで終わりではありません。あらためてこの『病気』について知りましょう。
多汗症は病気である
何度も強調しますが、多汗症はれっきとした病気です。ただ汗っかきなだけでは多汗症とは呼べません。なら、いったいどういう病気なのか。ざっと以下に特徴を挙げてみます。
- 手のひらや足の裏など、局所的に大量の汗が出る
- 暑くもないし、運動していないのに汗が出る
- 悲しくもなく、緊張もしていないのに汗が出る
一文でまとめるなら、身体機能の失調により引き起こされる病的な発汗です。
よく誤解されていますが、不安や緊張で大量に汗をかくのは多汗症ではありません。
その場合はいわゆる精神性発汗の過多であり、心療内科などのメンタル面でのケアが必要となります。
精神性発汗型多汗とは
また、運動や暑さで汗が大量に出る人はあくまでも『汗かき』であり『多汗症』ではありません。
多汗症は精神的苦痛が強く起こり、鬱などのメンタル的な病気も併発する可能性があります。
何度でもいいましょう。多汗症は、れっきとした病気なのです。当然、各種保険も適用されます。
汗が出る原因(暑さ、緊張など)が見当たらないのに全身から滝のような汗が出る状態を、全身性多汗症と呼ぶこともあるようです。
この場合、汗以外のなんらかの病気が原因である可能性もありますので、一度病院で調べてみることをお勧めします。
汗かきの裏に潜む病気
多汗症の原因
なら、どうして多汗症になってしまうのか。・・・非常に残念ながら、まだ原因ははっきりしていません。
一説によると、自律神経の一つである交感神経が機能しすぎて、汗腺(エクリン腺)が必定以上にがんばってしまい、必要以上の汗を出してしまうのでは? と考えられています。
ここでも繰り返しますが、多汗症の原因は精神的なものであるというのは間違いです。
様々な書籍やホームページにて上記のように説明されていたり、精神面を鍛えれば治ると騙る業者がいたりしますが、誤解しないようにしてください。
局所的多汗症~手のひら足裏わき顔頭部~
病気由来の症状でなく、『大量の汗が出ること』自体が症状の多汗症。これらのほぼすべては、手のひら、足の裏、わきの下、顔や頭部などの、限定的な部分から発汗します。
これを局所性多汗症といい、何か所か複合して発汗するケースが多いとされています。
また、局所的多汗症を細かくわけると以下のとおりになります。
手掌多汗症~しゅうしょうたかんしょう~
手掌多汗症はおもに手のひらから発汗します。多汗症の中でもっとも多くみられるタイプの一つです。
症状が軽い場合は「ちょっと気になる」で終わりですが、重い場合は手のひらから汗が滴りおち、紙がびしゃびしゃになったり、電気製品が故障することもあります。
手掌多汗症は症状の具合により重症度の分類がされます。
レベル | 発汗の程度 |
---|---|
グレード1 |
光にあたると手のひらの汗が光ってみえる。 触ってみると濡れているのがわかる。 |
グレード2 |
手のひらの水滴がわかる。 こぶしを握ると汗がしたたり落ちる。 |
グレード3 |
手のひらの水滴が目立つ。 手のひらを開いていても汗がしたたる。 |
足蹠多汗症~そくせきたかんしょう~
足蹠多汗症は、主に足の裏から発汗します。
汗で靴下がぬれたり、廊下に点々と汗の足跡ができたりします。
腋窩多汗症~えきかたたかんしょう~
腋窩多汗症は脇の下から発汗する多汗症です。
あくまでも『汗』の話であり、臭いを症状とするワキガとは異なります。ただし、ワキガと併発するケースは少なくないようです。
頭部多汗症~とうぶたかんしょう~
上の3つとは違い、頭部から発汗するケースもあります。
常に髪がしめっているように感じたり、ひどくなると頭から常に汗がしたたり落ちます。
実際の症例が少なく、他と異なり治療法が多くありません。
多汗症は非常につらく苦しいものですが、周りの人には悩みが理解されにくいものです。それどころか、本人ですら病気と認識していないこともあります。
もしあなたが多汗症かもと思ったなら、恥ずかしがらずに病院で診察を受けてみることをお勧めします。