手術なしの多汗症治療は?~市販品や漢方薬など~

世の中には多汗症で悩む人がたくさんいます。ただの汗かきだと誤解して、何もせずにいる人も少なくありません。
手術はあくまでも最終手段として、それ以外の治療法は何があるのでしょうか。
多汗症だと思ったら何科に行けばいいの?
いざ多汗症を治しに行こうと思っても、まず何科にいけばいいかで悩みます。
とりあえずではありますが、皮膚科に行くのが一般的なようです。
まずは皮膚科で多汗の状態を調べ、手術が必要そうなら外科へ、そもそも多汗症でない精神的発汗が原因なら心療内科へと、おのずと行くべき場所へ導かれていく形になります。
手術したくない場合の多汗症治療
塩化アルミニウム液を使う
塩化アルミニウム液を気になる箇所に塗ることで、汗腺を塞いで汗を防ぐことができます。
ワキや手のひらなど、局所的な汗を止めるのに有効です。
ただし、傷がある箇所や粘膜付近には利用できません。
塩化アルミニウム液での多汗対策~オドレミンなど~
塩化アルミニウム液は市販薬としても売られており、日邦薬品のオドレミン、佐藤製薬のテノール液があります。
イオントフォレーシス
イオントフォレーシスとは、汗が気になる箇所を水道水にひたして、そこに弱い電流を流す療法のことを言います。
電気により生じた水素イオンが汗腺細胞を阻害し、汗の発生を抑える仕組みになっています。
効果が出るまでに最低でも2週間ほどかかり、忍耐強く治療を継続しなければなりません。週数回の治療を中止すると、数か月で再発してしまうこともあります。
また、長く使用するにつれ効果が薄れてしまいます。
日本ではあまりメジャーな治療法ではありませんが、最近では家庭でイオントフォレーシスを行うドライオニックというマシンが通販で購入できるようになりました。
多汗症治療に使う内服薬
過剰に働く交感神経の動きを抑えることを目的として、抗コリン薬などの内服薬が用いられることがあります。効果は一時的である上、副作用(のどの渇きや排尿障害など)もあり、あまり一般的とは言えないようです。
病院に行って処方してもらおうと思っても、お医者さん自体が存在を知らなかったりします。
多汗症治療で使われる内服薬の一例
- プロパンテリン
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交感神経遮断薬として、唯一認可されている多汗症薬。
プロパンテリンについて - トフィソパム
- 自律神経のバランスを整える薬。
トフィソパムについて
多汗症に効く漢方薬
東洋医学で扱う漢方薬にも、多汗に効くとされているものがいくつかあります。医薬品のような即効性はなく、効果にはかなりの個人差がありますが、副作用が少ないため安心して利用することができます。
漢方薬はインターネットでも購入できますが、漢方医の診察を受けて処方してもらうのが基本です。あくまでも『薬』ですので、
自己判断での利用はやめておいたほうがいいでしょう。
多汗症に効く漢方薬の一例
- 五苓散(ごれいさん)
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体内の水分の循環をスムーズにし、無駄な水分を取り除きます。
五苓散について - 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
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体の熱や炎症をとり、機能の亢進をしずめます。のぼせ、イライラ、動悸などに効果があります。
黄連解毒湯について - 桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
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体の熱を発散したり、汗を調節して皮ふの状態をよくする効果があります。
桂枝加黄耆湯について - 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
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色白で水太りタイプの多汗、むくみがある方に効果があります。多汗症の漢方薬としてよく用いられるようです。
防已黄耆湯について
多汗症の治療法はいろいろありますが、まだ決定的!といえるものは見つかっていません。自らの体質を見極め、できることならお医者さんときちんと話し合って、多汗症改善への第一歩を踏み出したいものです。